カテゴリ:詩( 126 )

まるで平べったいのっぺりとした顔で
私は何をそれは不道徳な音を出しているだけなのです

月よ星よと呼びかけてはいても
それは所詮俗事の投影でしかありません
この目にはほんとうの月も星も
うつらぬのです
いかにも見た目ばかりのコートを羽織って雨の中ふらついたところで
そういった易いアルコールを
死なない程度に口にいれてはげえげえと吐き出し
いかにも蜥蜴の様な目つきの真似事で障子を睨んだところで
そういった安い演劇を
歩くのに不便ない程度に飲み込んでいる

花は種
このわたしの臓腑からぎしぎしと音はせず
哀しき雨音も拗ねる子の声も
薄いうすーい私の鼓膜をしかし震わすこともなく
ことばの在り様は私からとおいとおい生き物の皮膚で
何か聞くことの出来ない硝子のような内臓を包んでいるのです
花は霞
腕手指指指指指
からからと嘲笑するキイボオド
指指指指指手腕
軽々と取り外される木乃伊の脳胞
ああ何度このドアに斧を叩き込んだことだろうか!!
花は花
切断される間もなくそれは最初から独々しいのだ

ひといき吸うごとに浮塵子がするりと肺に入り込み
ひといき吐くたびにサイというサイが失われている
恨めしいのだ羨ましいのだ
五十音全てがお前らは当然のように無意味に存在している
私にはそのうち一つくらいは自由に扱えてもいいものだろう
たった2パーセントの要望なのですほんとうのほんとうにそれだけなのです

楽しい踊りでも踊りましょうか
はらはらと血でも流しましょうか
骨、鉄、殻、目、靴、皿、爪
沢、針、雪、目、鍵、管、唾
真夜中の十字路でその真ん中でスコップなんかを片手に埋めておきましょう

ああ月が月が出ているねと
ああ星が星が出ているねと
思うことを思うことの罪状を泥だらけの舌でなぞりたいのです
見ることを思うことの折檻をかさぶただらけの背で受けたいのです

まるで平べったいのっぺりとした顔で
私は何をそれは母音もない呻き声を出しているだけなのです
まるで平べったいのっぺりとした顔で
私は何をそれを言おうとしているのです

叫ぶ叫ぶ犬にも劣る
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by HALinNT | 2014-04-29 16:21 |

14

ベーコンのブロックにゆっくり包丁を沈ませる
肉と脂の部分じゃ手ごたえが違うんだよ
跳ね返るような弾性はお肉の層で
ざりりと音が聞こえるのが脂の層さ
ゆっくりと刃は飲み込まれていく
手つきはまるで祈るように祈るように

ベーコンの焼き方じゃどうしたってアメリカ人には勝てない
あと憂鬱と退屈と愛嬌が全部入ったあの国の10代の女の子だけができるスマイルも
ドーナツとコーヒーへの信仰心も
でもそうだね僕たちが持てないモノの数は
彼らが欲しがるモノの数と同じになるハズだよ
夜の星と昼の太陽みたいに

鼻歌をうたったりタバコを吸ったりしながら
冗談みたいにまっ黄色なシーツを干している
広げた端っこから端っこまでが世界の限界だとするなら
少なくともあと子供を一人くらいは作っても大丈夫だろう
そこから先は嘘の出番
僕たち三人はありもしない森やコテージやワールドトレードセンタービルの話をする
舌はまるで祈るように祈るように

そしてきっと唐突に閃くんだ
このかわいい娘がちゃんと走り回れるような芝生が必要だって
だから僕はダイナマイトを抱えたり裸で四つん這いになったりして
宗教以外の宣戦布告する理由を探すんだ
戦争の仕方じゃどうしたってアメリカ人には勝てない
石油みたいな夜と爆弾みたいな太陽と

バラバラになったバラ肉は靖国の桜チップで燻してくれ
手つきはまるで祈るように祈るように
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by HALinNT | 2013-09-12 01:08 |

ダンシング・アサイラム

すべての踊ることが違法になって
ダンスミュージックが非合法になった夜に
すべての音が消えた
僕たちはどんな音でも
踊ることができるから
陰鬱な鼓動のトラックでツイストを

心臓を止めよ、と彼の人は言う
鼓膜を潰せ、と世の人は言う
一分たりとも動けば
それはダンスそれはダンス
まばたきする僕のダンスを
盲者は白い杖を振るうコンダクター

止められるワケの無いものを
止められるものなら止めてみせろと
あなたの怒号もダンスだ
振り上げたコブシもダンスだ
罪を読み上げる口元もダンスだ
首にかかった縄もダンスだ
灰になっても踊り続ける

書物のページを繰るダンスを
キーボードを叩くダンスを
モノを咀嚼するダンスを
セックスするダンスを
寝て起きるダンスを
生きてくダンスを
死んだダンスを
僕等は本当に本当に踊り続けていて

2143年 僕はゆっくりとソフトマシーンから手を離し
震える指で北を真っ直ぐ指し示した
銃弾が額を貫いて
頭の機械が赤く赤く染まった
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by HALinNT | 2013-07-09 14:49 |
なるべくおいしいものを食べて忘れます
なるべくたのしいものを見て忘れます
なるべくつらいものから目をそらして忘れます
なるべく なるべく
なるべく なるべく

おっとこれはいつもの憂鬱ですか そうですか
慣れたもんだと忘れましょう
おっとこれはいつもの自殺願望ですか そうですか
明日もそうだと見送りましょう
おっとこれは珍しい博愛主義ですか そうですか
死にたくなる前に逃がしましょう

あんなこと言ってるけど 本当は一日のほとんどを
机のカドを見つめて過ごしているんですよね?
そんなこと言ってるけど 本当は一日の大半を
布団の中で焦燥感をじりじりさせてるんですよね?

私みたいに

私みたいに

空気の中には憂鬱になる成分が含まれていて
呼吸をする度に 息を吸う度に 息を吐く度に
その憂鬱素が肺から脳から指の先まで
巡っては死にたくなって 巡っては死にたくなって
そんな風に深呼吸させているのです

なるべく息を吸わないように気を付けます
なるべく息を吐かないように気を付けます
なるべく肺胞に届かないように気を付けます
なるべく脳が侵されないように気を付けます
なるべく なるべく
なるべく なるべく

気が違ってしまわない様 万全に身構えているのは
気が違っているからなのでしょうか
それならばこの憂鬱も焦燥も嘘なので
これは全部嘘なので 嘘なので
私はとても幸せです

なるべく なるべく
なるべく なるべく

なるべくこれは嘘なので
なるべく私はとても幸せです
なるべく生きないように気を付けます
なるべく騙されたままいるよう気を付けます

なるべく なるべく
なるべく なるべく
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by HALinNT | 2013-02-17 23:40 |

唄うカエルの夜

一人で踊るのが楽しくて
気がついたら 朝が来てたよ
東からパレードがくる
僕には踊れない曲を鳴らして

一人で笑ってるのが楽しくて
気がついたら 壁を見てたよ
北からパレードがくる
僕には笑えないジョークを飛ばして

お祭りはいつだって
一人では楽しめないようにできている
パレードがくる パレードがくるよ
僕を殺すパレードがくる

一人で泣いてるのが楽しくて
目を開けたら 笑われている
西からパレードがくる
僕にはできない歩き方をして

一人で一人でいるのが楽しくて
目を開けたら ここにいた
南からパレードがくる
僕には見えない洋服を着て

お葬式はいつだって
一人では悲しめないようにできている
パレードがくる パレードがくるよ
僕を知らない パレードがくる

一人っきりで生きたいな
一人ぼっちで死にたいな
パレードがくる時にはどうか
僕を見つけないでくれ

一人っきりで楽しんで
一人ぼっちで死にたいな
パレードがくる時にはどうか
僕の目は開かないで
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by HALinNT | 2012-06-07 23:31 |

蔓/茨

翻る緑の眼 裏返る赤い肌
情動は旋律を剥がし 今 七十の堰を知る

嘆きあう揺籃の靴 笑いあう騒乱の花
砲撃は殲滅を亡くし 只 霊獣の呼気を聞く

おお!金襴緞子の幼子は!

巨人は骨子を抜かれ 僅かばかりの歌
這い回れば蛹にもなろう 踊り狂えば焔にもなろう
燐光は幾重にも まとわりついてまとわりついてく
この身 この世との境界を曖昧に埋めていく

流れゆく迅速なる蝿 剥がれゆく蹈鞴踏む蔦
渉猟は隠滅を飛ばし 故 苦渋の月を食む

忘れ凪ぐ愛凛として不浄 焦れ鳴く離心として無明
照覧は陰脈を殺し 昂 心中と死鬼を為す

ああ!魑魅魍魎のしんがりを!

羅漢は斬撃で裂かれ 赤いばかりの性
蠢くなら水子にもなろう 焼かれるなら毒にもなろう
虐行は臓腑より はきだされてはきだされていく
この手 この珠との連環を惨劇へと導いている
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by HALinNT | 2012-03-02 23:40 |

展翅台

この手は何かを探しては
伸ばして掴んで握りつぶして
この眼は何かを見つけては
開いて重ねて眩暈を起こして
その川の固有名詞は
その場所につけらている
流れる水は名前を持たない

携帯電話のディスプレイが
瞬き唸り承認をせがむ
その音の固有定義は
その液晶で示されている
溢れる声は名前を持たない

あの鶫の軌道をなんと呼ぼうか?

君は死ぬ
しかもゆるやかに一瞬で

その残った君の鼓動をなんと呼ぼうか?


今日も言葉は名前を持てない
絡み合ってはぶつかり合っては
すれ違っては届かなくては
流れる水は名前を持たない
溢れる声は名前を持たない
今日も言葉は名前を持てない

ならばだから
きっとここに名前をつけるのだ

嘘つき!嘘つき!
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by HALinNT | 2011-11-29 22:31 |

追憶クイジナート

終わる色 いつも同じ色
2色で飾った砂嵐に見入っては
どこかいつか読んだ感情で装う
悲しい苦しい 悲しい苦しい

夜明けは傍若無人に
新しい陽光を投げつけて
窓ガラスは割れる 乱反射して笑う
何かに似ている 何かに何かに

もうそれは見えない もうこれも見えない
つんぼの犬が蹲り吠え吠え
鏡と目が合って どこが奇形かだなんて
こんなやり方じゃ判らない

笑う姿と嘘をついては
嘆く姿を嘘をついても
昨日と今日と明日は
冗談以上の目隠し作用で
滞りなく 重なっていく

どこからはじめた理由で この嘘なのか
一切思い出せない
なにから逃げる根拠で この嘘なのか
一切思い出さない

まるで目の前を無遠慮に
カラカラと転がる時計は
砕けたガラスが踊っている様だ

ガラガラと橋から見える
あの切り刻む時間の流れは
反射の思惑に 何を投げる 投げた

この体は1モルの理想気体で作られていて
別れ別れになる私と私と私達

手を振ることを
忘れていたよ
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by HALinNT | 2011-09-03 23:56 |

熱量的無限大

君の熱はゆっくりと無害なものになる
指先はカサカサと中空を惑い
言葉は喉の奥でただの呻き声にされ
見知らぬ誰そ彼そに自分を尋ねては
曖昧な苦笑いだけがファイルされていく

びょう と風が吹けば、その熱は
更に意味合いを奪われていく
ヤブ睨みも手馴れた姿勢だと虹彩が
ゆらゆらと最後の陽炎を宿している
凡庸な苦痛だけが包帯を求めている

朦朧とさせ巫女の祝詞を口走るような
その温度を持ち合わせていた筈なのに
如何にも何一つ焼け死んではいないのは

錯乱とさせ蛭子の産声を響かせるような
その宿業を背負わされていた筈なのに
如何にも唯一つ灰だけしか掴んではいないのは

あまりにも単純で本能に近い話
燃やすべきものを手放しているからだ

知らぬ間に
嘔吐する溶岩が人を殺すのなら
それを自覚する奴隷だけが誠実でいられる

暗い暗い夜に
溢れ出すコロナが人を殺すのなら
それを知覚する傀儡だけが本当でいられる
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by HALinNT | 2011-07-15 01:13 |

シシノシ

冬の花火の様に
そのビー玉の瞳は反射と点滅をくり返している
何もかも砕けぬものは無いと
その牙は声高らかに唄っている
か弱きモノ共よ 耳を塞げ
雄叫び 一閃
赤く小さな炎など煙になる
永劫不滅の鋼よりも
しなやかに強靭なこの体躯
朽ちることなど 動かぬことなど
その程度の真実など か細い嘘と変わらぬ

夏の貧民窟の様に
末端から黒く染まり 蛆の母親になる
これがもしまだ薄ら寒い
春の出来事であったのなら
いかにもな芋虫一匹となれたのに
そもそも もそもそ
そうであったのなら愛しきこのこれが
おぞましいもろもろの餌になど
なることもなく伸び伸びと離れ
朽ちることなど 動かぬことなど
その程度の本当など 一度の嘘で書き換わる

蜜月と呼ばれていたのだろうか
あるいは全てから忘れ去られていたのだろうか
肺の奥には忘れ得ぬ
道しるべと踊る 青白い火が灯る
偉大な獣はがらんどうになった
ガラスの少女はさなぎになった
それに抗う様に
そうであるが故に
瞳は全ての星をその中に宿した
犬歯は全ての意味をその先端で裂いた

細い細い針の様な嘘でさえ
現実を簡単に打ち砕いていく
そのたった一撃の嘘でさえ
真実を完全に書き換えていく
そのたった一撃の嘘だけで
本当を飲み込んで飲み干して
意志だけが言葉を嘘にする
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by HALinNT | 2011-07-07 23:06 |