「ほっ」と。キャンペーン

あれからと、これから

この度の震災で亡くなられた方々に心からお悔やみと、被災地域の方々には心よりお見舞い申し上げます。

私はこんな殆ど誰も見ていない様な場所で細々と囁いている、ネット詩人の中でも末端も末端、木っ端をさらに砕いた程度の者です。
それでもこの未曾有の大震災を前に詩人は/詩は/虚構は、一体何が出来るのだろうか? 一体どんな意味があるのだろうか? と考え込んでしまいます。

ごく正直な所を言えば、私の詩は日常のほんの5分/あるいは3秒/あるいは指先の感触が電気信号になって脳に辿り着くまでのちょっとした時間を引き伸ばして引き伸ばして、ゴテゴテに飾り付けているものです。
だから世にある幾つもの素晴らしい詩の様に、命の喜びも、失われたものの悲しみも、過去への憧憬も、未来への希望も、それらを詠うことは、私には出来ないのです。

更に言えば、私が現在暮らしている場所は地震の影響から遠く離れた場所であり、その被害に心を痛めるばかりで実際にはほぼ変わらぬ毎日を送ってしまっているのです。

もっと酷い事を言いましょう。変わらぬ毎日どころか地震に託けて自分が抱える小さな幾つかの問題を先延ばしにし、偽善的な言動を繰り返し、偉そうに講釈を垂れ、自分の知っている事をたまたま知らない人を見つけては優越感に浸っているのです。

クズです。

それでも、例え私が今それを恥じて首を吊ったとしても何の意味もありません。それどころか普段からただ死にたいだけなのに、それを他のもののせいにするより一層のクズになるだけです。

結局私に出来ることは、ただオロオロしては自分の糞さに絶望するだけなのです。

でも、そんな事で本当にいいのでしょうか。
私は、私という詩人は、私の書く詩は、私の中にある虚構は、無力で無意味で糞である事は別に今に始まったことではありません。

それならば私は、今この目の前の瞬間を再び引き伸ばしては詩にするべきではないでしょうか。
無意味ならどこまでも無意味なまま立ち尽くすのです。あの日から前と何も変わらない姿のままで。

もっともこんな文章を書いている時点で、その影響を受けていないハズがありません。
それでも、どれだけ長い時間をかけても、世界は(あるいは世界を作る精神は)元の姿にいつか戻るでしょう。それならどこかで「元の姿」を失わない為に。
あるいは、この大理不尽に対して忍耐するのではなく勝利する為に。

『お前なんかで影響は無いぞ』『お前なんかで何も変わらないぞ』『お前なんかで何も終わらないぞ』と、そんなワケは無い事を知りながらも宣戦布告するのです。

あらゆる不義理と自己欺瞞と決心を飲み込んで言います。

私の詩は「私が影響を受けたいと思った事」以外では一切変わらない。いくら不回避の不幸が襲ってこようとも、そんなものは「私の詩には何の意味も価値も無い」。

そしていつか世の中の全部が「あんなものはもう関係ない」と、強がりでも思える日が来る事を祈って。
明日からもまた、末端も末端、木っ端をさらに砕いた詩人になります。
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# by HALinNT | 2011-04-06 02:21 | 詩じゃない

蕨式輪転型映写機

あれは高校生の時だったから 確かまだ90年代と
後に言われる時代だったと思う
9月の真ん中くらいで
こんな時間でも教室の窓から 夕日がギチギチを捻じ込んでくる
たぶん そのぐらい の 時

僕はいつも通りに 5色ルーズリーフの黄色を
鉛筆で黒く塗りつぶしていたんだけど
いつもなら僕が急に叫んだりするから、一人きりなんだけど
なんか今日に限って上手く叫べないせいか
君がまだ机に居座ってカリカリと音を立ててるんだけど

夕日が持ってきたギチギチで
僕には左斜め前に座っている君の右の頬と右の手首から先と右の膝から足首まで
それだけしか見えてないんだけど
あんまりにも傍若無人な肌色が気味悪くて
僕は自分の手の変わりに、黄色のルーズリーフを塗りつぶしている

夕日はあっという間にギチギチの最後を投げて
このまま暗くなってくれれば、僕が塗りつぶす手間を省けるんだけど
あのアイツはこれでもかとパチンパチンと音を立てて
僕の塗りつぶす仕事を増やしている

コイツまだ僕の教室に居座るつもりか!

本当は今日僕がする仕事は、カーテンにぐるぐるに巻きつかれてその中で
オイオイ泣いて べったりと跡をつけて
また明日の朝それを見てオイオイ泣くことだったり
クラスで3番目に可愛い子の椅子に全裸で座って、「ハイ!」って元気に手を挙げたりする事なのに

コイツまだ僕の教室に居座るつもり!
どころか!
僕の後ろにヌラリと立っているじゃないか!

「ねぇ、アンタ何してんの?」

僕はボキリと鉛筆を折った、折ってやった!
僕の教室だぞ!僕の教室だぞ!僕の教室だぞ!僕の教室だぞ!

「ねぇ、アンタ何してんの?」
なんだよコイツ、バカなのかよ
僕、今日はちゃんと服を着てるし、いつものダサいメガネだし、死にかけの猫も鞄の中で今にも途切れそうな鳴き声あげてるし


「黒く塗ってるの?」
あ、わかった こいつ僕の教室を獲ろうとしてるんだな
なるほどなるほど合点がいった

「うぼええええええええええええええええええええええええ!!」
思いっきり吐いてやった

そしたらコイツは僕の頭をぎゅうぎゅうと締めて 大丈夫?大丈夫?とか言ってくるんだけどこの程度でギブするわけ無いし(笑)



目を開けると

いつものロッカーの中だった。

閉じ込められているうちに、寝てしまったらしい

慣れたもんだ



ところで僕は不登校でほとんど学校には言って無かったんだけど
これはいつの誰の記憶なんだろうか?
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# by HALinNT | 2011-03-18 22:58 |

パノラマカッター

本当はいないなんて解っていても
僕等は見れるし触れる
スカイフィッシュ きっと
ここでしか覚えられない言葉がある

いつの間にか誰かが嘘つきになっても
僕等は知ってるし信じる
スカイフィッシュ きっと
今しか知らない本当の事ばかり

テレビに繋いだイヤホンジャックから
いかにもその通りな毎日が流れてきて
でもそれは、その細いコードだけの
証明で今日も囁いている

いつかすべてが間違いに変わってしまっても
今日の正しさは揺るがない
いつかすべてが砂に変わってしまっても
今日はリンゴの種を蒔いて

泣いたフリをする度に
僕等はちょっと子供になって
笑ったフリをする度に
僕等はちょっと大人になって

本当に泣いてしまう度
僕等はちょっと大人になって
本当に笑っている度に
僕等はちょっと子供になって

いつの間にか一人になっても
僕等は言えるし知らせてる
スカイフィッシュ きっと
正しくない事だけ真実なんだ

いつの間にか明日になったら
僕等は忘れてしまう、覚えてる!
スカイフィッシュ きっと
瞬間だけが本当の事
今だけ解る真実ばかり
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# by HALinNT | 2011-02-04 21:05 |

サラマンダー

この体を覆う熱量が
何かに向かう 温度なら
40度越えるデジタル表示も
悪くは無い

炎纏った舌を伸ばせ
まだこうして生きているぞ
まだ全てを燃やせるぞ
背中には鋼弾く鱗

砂だけが笑う夢で
逆巻く炎禍から 羽根を開いて
引き裂く音を立てて生まれた

殺されかける度に
新しいマッチを擦っては
また強く火の手上げる
霧を焼く舌を伸ばせ

まだこうして生きているぞ
まだ全てを燃やせるぞ
新しい決意を吸っては
また強く両の手上げる
霞を焼く舌を伸ばせ
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# by HALinNT | 2011-01-03 22:05 |

海月

海亀は私を食い千切りながら
「今年の冬は、なんだか暖かいね」と
波間をぬって話しかける

傷口は海水に洗われ
兎の様にポロポロと涙しながら
「本当にそうだね」と小さな針を飛ばす

水に溶け合いながら
ギリギリの境界線を揺蕩う
ガラスの積み木は 私にも見えない

どこまで重ねれば
水面から顔を出して
月明かりと反射できるのだろうか

海の外は 肌が乾く
また うねりに飲まれ
私が見えなくなる世界と帰る

いつかこの 生暖かい海に
溶けて しまう のだろうか
いつかこの 誰にも見えないブロック
砕けて しまう のだろうか
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# by HALinNT | 2010-12-10 23:57 |

星を砕く

子供は夜を
夜を食べる
夜を食べて大きくなる

大人は夜を
夜を忘れる
夜を忘れて語り明かす

子供たち
食べな 食べな
大人になんて、ゆっくりなればいい
夜はまだ 甘く柔らかい

大人達
寝るな寝るな
残された時間は余りにも少ない
夜はもっと苦く固い

石臼な夜風が
粉砂糖を運んでくる
子供は夜を
夜を食べる

石炭な夜風が
ランタンを躍らせる
大人は夜を
夜を忘れる
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# by HALinNT | 2010-12-10 23:46 |

想真冬

道行情婦外皮増層
空只青乱雲砕
思出宿私脳芯
夜帳胸這寄

咽喉燃血反吐吐残響
扼腕本棚倒壊
須冬来波紋

雲千切鳥姿
誘導着地私胸
容戻水鳴滴落
只波等波等涙似
思因不意走意識
理解至前零囁

目瞑耳塞
静黙待青冬溶
両手私肩抱
暖気唯是一
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# by HALinNT | 2010-10-28 23:23 |

PBmR

ビリンヤスカ 君だけさ
僕に話しかけてくれるのは
毛布に包まってクスクス笑う
もう夜が明けない事を教えてくれるよ

ビリンヤスカ 君だけさ
僕に優しくしてくれるのは
枕元のスタンドで手元を照らして
詩を書いてる僕の邪魔して喜んでるね

耳元でこっそり柔らかくささやいてる
「ねぇ そんな事は無意味だよ」って
ぽしょぽしょと唇が音を鳴らして
彼女の髪 僕の鼻先をくすぐってる

僕はにっこり笑ったあとに
ビリンヤスカ 君にこう言うんだ




なんなんだよお前は、マジで、ふざけんな!
人が痛い思いして必死で書いてるもんを
よくも無意味だなんて言ってくれたな!
ああ知ってるよ!無意味だよ!
でもそんなことはお前が口を出す様な事じゃないだろ!
何度も何度もお前みたいな奴が!
無意味だ無意味だって言うから!
本当に無意味になってしまいそうだよ!
小学生の頃、国語の授業で!
僕は詩を書いた!それは死んだ蛙の詩だ!
先生は気持ち悪いから書き直せと言ったんだ!
だから!僕は!
教室の一番前で、叫んだんだ!
キレイなものばかりを書くのが詩じゃない!!って!!
今でもその時の熱量が僕を捕まえて!
それからずっと詩ばっかり書いてるんだ!
それからずっと学校には行かなかったんだ!
今の話は全部嘘だ!
本当は幼稚園で蟻の巣に熱湯を注いだ時に!
蟻の巣から飛び出した詩の神様が鼻から脳に滑り込んだからだ!
今の話は全部嘘だ!
とにかくもう邪魔はしないでくれ!
もう僕に触るんじゃない!触るな!
なんなんだよ・・・マジで・・・なんなんだよ・・・



ダンボールを重ねたベッドで
私は遠い星の夢を見る
そこでは私が僕で
幸せな花を咲かせている

もう夜は冷えて
自分の体温だけが あたたかい
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# by HALinNT | 2010-10-24 22:36 |