シロップエッジ-解説-

片目の潰れた子猫を抱いた
小坊主 夕立 影法師
モノクロ写真に潜んだ燐光
君の目 朝焼 琵琶法師

Tシャツ越し熱放つ子猫
二の腕 噛み傷 五寸釘
スロー再生淀んだ竜胆
宝石 風船 赤柊

歩行者天国通り魔には  毳毳しい侍の首が
散弾歌った双頭の蛇には セントエルモの祝福の
ミッキーマウスに花束を

排水側溝の目の無い子猫 プラスチックの風叫ぶ
四畳一間の手の無い子供 巨大冷凍庫の都市計画
歯車構造の灯の無い子袋 焼却システムの氷点下

この身裂かれて 蟻への供物
何べん生まれ変わっても自傷する虚勢
メープルの木よ 手を伸ばせ

以下解説

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# by HALinNT | 2010-07-16 15:04 | 詩じゃない

シロップエッジ

片目の潰れた子猫を抱いた
小坊主 夕立 影法師
モノクロ写真に潜んだ燐光
君の目 朝焼 琵琶法師

Tシャツ越し熱放つ子猫
二の腕 噛み傷 五寸釘
スロー再生淀んだ竜胆
宝石 風船 赤柊

歩行者天国通り魔には  毳毳しい侍の首が
散弾歌った双頭の蛇には セントエルモの祝福の
ミッキーマウスに花束を

排水側溝の目の無い子猫 プラスチックの風叫ぶ
四畳一間の手の無い子供 巨大冷凍庫の都市計画
歯車構造の灯の無い子袋 焼却システムの氷点下

この身裂かれて 蟻への供物
何べん生まれ変わっても自傷する虚勢
メープルの木よ 手を伸ばせ
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# by HALinNT | 2010-07-15 08:36 |

君声スタナー

一人ではいられないと正直になれる程
もうその色も爪も痣も忘れたわけなくて
ドアの隙間に潜んでいる思い出の音に
耳を澄ませてみれば 動けなくなる
ちょっとだけ立ち止まって痺れてみれば
簡単にその振動を生き返らせるのに
君声スタナー どこまで届くだろう

陽光に翻る今日の蝶々
夏を告げる突風に煽られても
笑う様に流されては笑う
春過ぎてまだ 冷静な私のつま先
コーヒーが冷めるのと同じ時間を手にとって
五月の温度で包む 火傷した指
君手スタナー 足を止めた

君の思い出 舌でなぞっては
笑った泣いた怒った困った顔をしてみる

もう眠ったら 醒めなくして
君声スタナー 君声スタナー
もう触ったら 動けなくして
君手スタナー 君手スタナー
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# by HALinNT | 2010-07-08 09:12 |

無踏破感覚域

空走る星眺めた狂乱というダリア
名付けられたその矢先 咲き誇る情動
祈りの手、開き 背信と嫉妬のドレスコード
月かすめ落ちた星の行方なら知らない

礼拝堂に眠る浮浪者の臭い
臨月の額に刻まれた数字をなぞる
石油化学コンビナートに住む歯車の鳥
月かすめ落ちた星の生涯なら知らない

蠍と鼠が手を取り合い踊る
砂漠の冬 砂岩の夜 名も知らぬ波音
罪被る狼、割る 光り続ける貝殻の
月かすめ朽ちた星の意味なら知らない

鏡の中に奇数個の眼が瞬いて
薙ぎ払った先の草原は獣の臭い
血に滑る手の中の骨 掌中の珠
足に幾つもの切り傷 まるで夢の様
輪廻惑う花弁の突風に尊び
存在論としての回答はキュビズムに投げられる
月かすめ笑った星の構造なら知らない
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# by HALinNT | 2010-07-02 22:27 |

鉱脈のエントロピー

園芸用のスコップでほじくり返す
埋めておいた思い出を取り出してみては
惚けた顔でにたりにたりと笑う
どんな場所にも記憶は隠れていて
押し固められたそれは
まるで水で出来た宝石みたいだ
丁寧に丁寧に キャンディーの袋で包んで
ポッケに入れておこう

つるはし振るう炭坑夫
整然と歌う黒鉄の嘴
まだ液状の宝石脈穿っては
溢れ出す忘れ得ぬいくつものあの日
足元にぬかるみを作っては
流れ出すただただ青色の虫
かみつかれては咽び泣き
いつもならスマイルの値段を上げる その毒も
今日の指は赤黒く変わる

偽物の様に動き回る
大丈夫の境界線
手のひらは銃弾が貫き
毎日を重ね合わせる 泣き笑い
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# by HALinNT | 2010-06-27 10:28 |

2-3-4-5-1

獣は疑うことも無く獲物を食み
川は豊穣の約束を農婦と交わす

古井戸の底 水蘚の岩
バンジョーを弾く小人の指は
いかにも雄弁に語る

理は特別な日常を紡ぐ織り手
花が咲く様に刺繍を続けるトカゲの爪
紙の蝶がはらはらと桜状に散り散り
古い日々に見た思い出も 降っては涙に溶けて落ちる

覆面で隠していた、目尻に増えた傷跡
一定距離の毎日は それが海の底から這い寄る者
赤い波に躊躇うスキなど もうすでに無い
着地点定めずに跳躍する犬の舌
今ならそれが無重力下だったとしても

今なら!
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# by HALinNT | 2010-06-09 20:01 |

ポルノスターの悲劇

私の友人は3千人と寝てその1万2千倍のお金を稼いだ
そのほとんどは次の男と寝る為に使われた
ポルノスターの悲劇 その体はちょうど3千600万円の価値があった

私の友人は誰も知らないミュージシャンの為に生きていた
彼女の時間は全て彼の為だけにあるかのように
ポルノスターの悲劇 その男はベルトコンベアーのベースラインを弾いている

私の友人は3回赤ちゃんを抱えて3度人を殺した
その日から彼女の子宮は失敗も成功も忘れた
ポルノスターの悲劇 彼女のトラウマが過程か結果かはアナウンスできなかった

私の友人が彼女自身の権利で彼女自身の終わりを選択した時
残されたものはほんのわずかな家財道具と私のあげた日記帳だけだった
ポルノスターの悲劇 彼女と私だけがこれは悲劇ではないと思っていた

ポルノスターの悲劇 私と彼女だけがこれは悲劇ではないと知っていた
彼女が好きなミッシェルガンエレファントのCDは
天国に着いたら渡してあげるよ
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# by HALinNT | 2010-06-07 22:57 |

再臨界

ワイヤードにスタンガン流して
脳ん中繋いだ針金から煙
金色に光る星が降っても
この目には焦点など無くて

太陽は今日も苦笑だけを投げて
思い出が色あせる その手助けをしている

あの白く輝いている旗は
黄ばんでしまって見る影も無く
言葉、今日も祈りの上をすべっていく

恥ずかしがる ヒマなど 無いと
空間を泳いで叩く右手が騒ぐ
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# by HALinNT | 2010-06-07 22:44 | 遺作群