シシノシ

冬の花火の様に
そのビー玉の瞳は反射と点滅をくり返している
何もかも砕けぬものは無いと
その牙は声高らかに唄っている
か弱きモノ共よ 耳を塞げ
雄叫び 一閃
赤く小さな炎など煙になる
永劫不滅の鋼よりも
しなやかに強靭なこの体躯
朽ちることなど 動かぬことなど
その程度の真実など か細い嘘と変わらぬ

夏の貧民窟の様に
末端から黒く染まり 蛆の母親になる
これがもしまだ薄ら寒い
春の出来事であったのなら
いかにもな芋虫一匹となれたのに
そもそも もそもそ
そうであったのなら愛しきこのこれが
おぞましいもろもろの餌になど
なることもなく伸び伸びと離れ
朽ちることなど 動かぬことなど
その程度の本当など 一度の嘘で書き換わる

蜜月と呼ばれていたのだろうか
あるいは全てから忘れ去られていたのだろうか
肺の奥には忘れ得ぬ
道しるべと踊る 青白い火が灯る
偉大な獣はがらんどうになった
ガラスの少女はさなぎになった
それに抗う様に
そうであるが故に
瞳は全ての星をその中に宿した
犬歯は全ての意味をその先端で裂いた

細い細い針の様な嘘でさえ
現実を簡単に打ち砕いていく
そのたった一撃の嘘でさえ
真実を完全に書き換えていく
そのたった一撃の嘘だけで
本当を飲み込んで飲み干して
意志だけが言葉を嘘にする
[PR]
by HALinNT | 2011-07-07 23:06 |